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アジアの国との友好の道を

長生炭鉱ツアーに参加して

京都市伏見区 内山郁子(73)

 山口県宇部市にあった長(ちょう)生(せい)炭鉱で水非常(水没事故)が起きてから84年たちます。5月22日から24日まで行われた長生炭坑ツアーに参加した内山さんの報告です。

84年経て坑道の
調査実施される

 「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」(以降、刻む会)の井上洋子共同代表は、「海に突き出た2本のピーヤ(排気・通気筒)の下には、当時日本の統治下にあった朝鮮半島から強制連行された、または、生活苦でやむなく渡日した朝鮮人136人を含む183人の遺体が84年間も放置されています。そして、刻む会の粘り強い運動と韓国の遺族のみなさんの強い願いが、日韓両政府を動かし、水没した坑道調査で人骨が発見されたのが今年の2月。日韓でDNA鑑定が実施される方向が出るなど、少しずつ前進している」と話しました。
 私には、逃亡を阻止する高い塀で囲まれた合宿所、朽ち果てそうな社宅、火葬場跡などのそばにいると、つるはしを持ち出かけていく炭鉱夫の息遣いが聞こえてきそうでした。
 2024年9月の坑口発見までの経緯では、日本政府は一切関わっていないそうです。2本のピーヤの中には当時の鉄骨や材木が朽ち視界が利かず、調査するにも危険が伴い、多くの支援者が物心両面で努力してきたことが分かりました。そして、井上共同代表の「1日も早く遺骨を見つけ遺族へ返してあげたい」との強い思いを感じました。

日韓民間レベルの
交流と連帯に希望

 京都府宇治市の在日コリアンが多く住むウトロ地区のウトロ平和祈念館では、韓国の高校生が訪問しイラストを壁に描きました。長生炭鉱追悼の広場のイラストも韓国の若者たちによるもので、日本と韓国の民間レベルの柔軟な交流・連帯に希望を感じました。
 戦中、日本がアジア各地で行った無法な行為は、多くの資料や証言で否定できません。国は過ちを素直に認め謝罪し、未来につなぐことが大事です。お金は軍事費ではなく、そこに使って、アジアの国々との友好の道をつくってほしいです。「あったことを見ない、見せない」ことは同じ過ちを繰り返すことになるのですから。


「長生炭鉱」とは

 長生炭鉱は、山口県宇部市の東部、瀬戸内海に面した床波海岸にありました。当時山口県には多くの炭鉱がありましたが、長生炭鉱は海底坑道の危険な炭鉱で、全国的に見ても、山口県内でも突出して朝鮮人労働者の数が多く、「朝鮮炭鉱」と呼ばれていたそうです。1942年2月3日午前6時頃、海岸の坑口から1000メートル以上沖の坑道で異常出水が始まり、午前8時頃水没するという大惨事が起こりました(※この水没事故のことを炭鉱用語で「水非常」という)。そして、この事故の犠牲者は183人、そのうち136人が朝鮮人労働者でした。

(2026年9月6日号「守る新聞」)

 
   
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