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生活保護制度実施要領改悪 資産申告書や通帳提出の強要やめて

 厚生労働省は、生活保護利用者に対して、一律に収入や資産申告書を12か月に1回、通帳の提出も求める通達を昨年3月31日に出しています。これに対して、利用者から不安の声や、強要する自治体の実態例が報告されています。北海道の事例と鹿児島の利用者の声を紹介します。

一律の毎年調査は不当!

札幌市 細川久美子さん

 昨年11月の全生連年末中央行動で生活保護の交渉に参加しました。
 北海道からの要求もありましたが、気になったのが大阪住吉区の「資産の申告について」の内容でした。当然申請するときに資産調査に答えなければなりませんが、「2015年からは、年に一度、資産の申告をしてもらう」という内容が文章で示されていました。
 札幌ではそのような調査をするという文章は見ていませんが、私たちが運営しているグループホームでも昨年から「各入居者の預金通帳の写しを出してほしい」と言われ、「なぜ必要なのか、その根拠を示してほしい」と保護課とやり取りをしました。そして累積金の額を知らせたのですが、また、この1月にCW(ケースワーカー)が訪問時に、同じことを言ってきたとスタッフから報告がありました。
 年末交渉でも「一律に毎年調査をするのは不当だ」とのやり取りがありましたが、実際におかしな話です。保護法でも支給された保護費の「支出の節約を図り」(法60条)と言っており、「目的を持って貯めるのなら良い」のだとされているはずですが、札幌でも長期に入院している人たちの預貯金が20万円以上になると「日用品費と加算が停止」、グループホームなど施設では「40万円の累積金があると生活扶助費と加算を停止する」というようになっています。
 生活するのにぎりぎりの保護費の中からほんの少しずつ目的を持ってためたお金が、「一定の額になったから停止する」ために毎年申告させられることは不当であり、あってはならないことです。

疑いの目で見る人権侵害

鹿児島市 槻木(つきのき)恭子さん

 昨年9月、鹿児島市から突然、資産報告書の提出を求める通知が送られてきました。生活保護を受けるようになってからは、収入の申告は毎月提出してきましたが、資産報告をしなさいと言われたことはこれまで一度もなかったので何のことかと驚きました。鹿児島市生健会の事務所に問い合わせたら、国の方針で毎年これから資産の報告をすることになったということでした。毎月夫と2人でようやく生活している私の世帯に資産などがあるはずもなく、しかも手持ちの現金、家や土地など資産の報告とともに、1年分の貯金通帳の写しも提出するようになっていました。
 事務所には「どうしてこんなことまでされなければならないのか」と泣きながら電話してきた人もあったそうですが、私も「内緒で悪いことをしているのではないか」と疑いの目で見られているような気がして納得ができませんでした。
 その後、「生健会」として「一律に預貯金通帳一年分の写しを提出させることは人権侵害で許せない。次回からやめるべきだ」と鹿児島市の福祉事務所に対して申し入れ、12月22日の対市交渉でも、重点要求項目として、みんなで人権侵害はやめてほしいと要求しました。鹿児島市は「検討する」とは約束しましたが、実際にやめるかどうかはまだはっきりしません。資産調査にどうしても必要であるなら預貯金高が分かればいいはずだし、本当に調査が必要だと思われる人がいたら、個別に本人の承諾を得て調べればいいはずです。こんな人権侵害をやめさせるために私も頑張りたいと思います。


厚労省との交渉

 全国生活と健康を守る会連合会は1月15日、厚生労働省と「生活保護制度に対する5つの要望」で交渉しました(1月31日号2面に詳細)。通帳などの提示は、「原則求めるが、信頼関係でしていない自治体もあるが認める」と回答。資産申告書の強要では、一律申告で不安が広がっている事例を示すと、「法の趣旨・目的から判断する」という回答にとどまりました。

(2016年2月7日号「守る新聞」)

 
   
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