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東京・生活保護費過誤支給の返還処分取り消し請求裁判 返還は最低生活保障を阻害 原告の訴え認め 東京地裁が画期的判決

 福祉事務所から過誤支給の生活保護費の返還を迫られ、裁判に訴えていた母子家庭のお母さんに、東京地裁で全面勝訴の判決が言い渡されました。「支援する会」の亀山茂雄会長(東京都生活と健康を守る会連合会副会長)から喜びの報告が届きました。

 2月1日13時25分、東京地裁522号法廷において古田孝夫裁判長は、「主文、〜生活保護法63条に基づく返還金額の決定処分を取り消す」と、厳かに言い渡しました。
 原告の山本みずほさん(仮名、40代)は感激の涙、弁護士も傍聴席の30人の支援者も総立ちとなって涙して手を握り合いました。一方、被告(東京都)席は敗訴を予測してか最後まで空席のままでした。
 この画期的な勝利判決にあたり、ご支援くださった全国のみなさんと共に喜びあいたいと思います。

喜びの声相次ぐ判決の報告集会

 原告の山本さんは、元夫からDVを受けて離婚、娘と生活保護を受け、児童扶養手当も申請して受けました。福祉事務所はこの手当の収入認定を1年3か月にわたり見落としたばかりか、4・5月まで冬季加算を誤支給するというミスをおかし、その責任を山本さんにすべて転嫁して「約60万円を返還せよ」と決定。それに対し、東京都を被告として闘った裁判です。
 判決後、ただちに34人で報告集会を開き、田所良平弁護士から声明文と判決に対する報告を受けました。支援者から「母子家庭での子育てと複雑な環境の中で、『行政相手に勝てるはずない』などとも言われながら頑張ってきたのが、この勝利につながったね」とねぎらいの言葉が続き、佐藤宙(おき)弁護士が全面勝利の判決文について説明しました。
 山本さんは、「弁護士や都生連をはじめ全国のみなさんのご支援で勝利することができ、本当にうれしい。ありがとうございました」と述べました。

「控訴するな」直ちに申し入れ

 報告集会後、12人で「控訴するな」の申し入れに都庁へ行きました(控訴期限は2月17日)。各組織から小池都知事あて要請ファクスを集中し、10日に再度申し入れて闘う決意です。


勝訴判決のポイント

 (1)費用返還義務を定めた生活保護法第63条は「全額の返還を一律に義務づけるものでなく」「法が、生活に困窮する国民の最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としていること(第1条)に鑑み」、全額を一律に返還させたのでは最低限度の生活の保障や自立を阻害する恐れがあると明確に示しました。
 (2)「被保護者について、その資産や収入の状況〜その生活実態等の諸事情に照らし、〜返還金の返還をさせないことができる」と、返還ゼロ円もあることを明確にしました。
 (3)行政側の過誤を被保護者である原告の負担に転嫁する一面は否定できず、「損害の公平な分担という見地」から「当該職員による過支給費用の全部または一部の負担の可否についての検討が不可欠」、その検討を欠いたままで、過支給した保護費全額の返還を原告に一方的に義務付けた役所の処分は「社会通念に照らして著しく妥当性を欠く」と、そのずさんな処分を一刀両断にしました。

(2017年2月19日号「守る新聞」)

 
   
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