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緊急院内集会 ガマンくらべを終わらせよう。 社会保障の下支え 生活保護基準を下げるな

 厚生労働省社会保障審議会の生活保護基準部会で5年に1度の生活保護基準見直しの検討が進む中、加算や生活扶助の引き下げを阻止しようと「緊急院内集会 ガマンくらべを終わらせよう。」が11月15日、参議院議員会館で行われました(主催はいのちのとりで裁判全国アクション)。参加は全国から320人を超え、生活と健康を守る会からも多数参加しました。(前田美津恵記者)

 はじめにテレビでおなじみの憲法学者、首都大学東京大学院教授の木村草太さんが「生存権と生活保護」と題して基調講演し、2013年の基準引き下げは違法と述べました。

基準部会で議論

厚労省の無謀許さず

 「生活保護基準部会での議論の状況」を、「全国アクション」事務局の田川英信さんが報告。生活扶助や住宅扶助などの引き下げが、基準部会での議論とは別に物価下落が持ち込まれたこと、報告書のごく一部を「つまみ食い」して強行された経過を説明。そして、「さらなる基準の引き下げが懸念される」と強調しました。
 特別報告として、元ケースワーカーの桜井啓太さん(名古屋市立大学講師)が大阪府堺市で調査した「生活保護世帯の大学生の現状と課題」を報告。「厚労省が実施要領を変えれば、“世帯分離”しなくても大学へ通えるようになる」としました。
 続いて当事者を代表して4人が発言。子どもの専門学校進学で「世帯分離」され、保護費が減額されたことに審査請求で闘っている女性。障害者や母子世帯から発言があり、高齢者の立場から東京・調布の八木明(めい)さん(91)が「文化的な生活ができない基準だ」と厳しく糾弾しました。

労働者の課題に

各党から闘う決意も

 緊急署名などの行動提起を尾藤廣喜弁護士が行い、最後に竹下義樹弁護士が「来年度は介護保険や障害者施策、社会保障の下支えにある生活保護の改悪が準備されている。当事者の目線で取り組んでいこう」と述べ閉会しました。
 参加した「あおもりアクション」事務局長の工藤詔隆(のりたか)さんは、「基準引き下げの議論の状況が分かった。ことの重大さに、労働者が自分たちの課題として参加していけるように頑張らなければ」と話しています。
 立憲民主党の長妻昭さん、自由党の山本太郎さん、日本共産党の倉林明子さん、社民党の福島瑞穂さん、民進党(参議院)の神本美恵子さんなど7人が国会内で闘うと連帯あいさつしました。


生存権保障は生死がかかる

18年へ向け世論盛りあげよう

憲法学者 木村草太さん

 憲法25条で生存権が規定され、生活保護基準は保護法8条で「最低限度の生活の需要を満たす」ものとし、厚生労働大臣が定める権限をもっています。今回の基準引き下げは大臣の裁量の範囲内なのか。2点でおかしいです。第1に「消費支出下位10%との比較」。下位10%は、日本の捕捉率の低さから(日本弁護士会は20%)、生活保護を受けられるのに受けていない人を含みます。生活保護基準以下の生活を放置していることは憲法が守られていないこと。
 第2は、2008年から10年に4・78%物価下落があるとした厚生労働省の試算は、恣意的。4・78%減るなら一般世帯の消費支出も減るわけで、その上、下落分を下げるのなら2回計上することになります。
 生活保護基準が憲法上妥当かは、正当な判断過程を経たかということ。今回はそうとは言えません。生存権保障は生死がかかった問題。18年に向けて世論を盛り上げましょう。

(2017年12月3日号「守る新聞」)

 
   
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