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生活保護の当事者が厚労副大臣に訴え

子どもの夢をかなえて

 「いのちのとりで裁判全国アクション」と「生活保護問題対策全国会議」は3月29日、高木美智代厚生労働副大臣に「当事者の声を聴いて」と要請を行いました。3月19日には厚労省社会・援護局局長要請を行いましたが、政策の決定権を持つ政務三役との面談を要求し、この間、全生連が衆参両院の国会議員に議員要請を行っている中で実現したものです。当事者4人(うち会員3人)を含む12人、全生連からは安形義弘会長、弦弓高明全国理事が参加しました。

(小古間ゆりか記者)

子どもの希望奪うな

母子世帯から切実な声

 子どもの問題で当事者2人が訴えました。福島の給付型奨学金収入認定裁判で1月に勝利を勝ち取った会員のNさんは、「今でも十分すぎるほど苦しい生活。月末になると食事すらろくにとれない。これ以上の引き下げは命を脅かす」「娘(19)は、『努力しても報われないなら何もしない方がいい』と希望もやる気も失い、精神疾患を負った。このような思いを誰にもさせたくない。未来ある子どもが生活保護家庭というだけで学ぶ機会を奪われれば、貧困の連鎖が断ち切れない」と話します。
 千葉の会員・Kさんは、小学生から高校生まで5人の子どもを育てる母子世帯。「夫の暴力から逃れ、子どもたちを育ててこられたのは、生活保護のおかげ」と感謝しました。
「子どもたちが夢をかなえられるよう使える制度は全部使う」とKさん。今年10月から教育扶助(高校生は生業扶助)の学習支援費がクラブ活動費に限定され実費支給となることについて、「申請手続きが複雑。でも申請しなければ給付されない。ケースワーカーに相談して『ダメ』と言われるかもしれないと不安」「高校生が世帯分離せずに、大学へ進学できるようにしてほしい。生活保護世帯の日々の生活に関心を持って、共感してほしい」と述べました。
 高木副大臣は、声を詰まらせるNさんに、「個人的に実態を手紙でください」と話しかけ、Kさんには「申請手続きは簡素になるように、ケースワーカーについては現場と連携をとり、話すようにする」と約束しました。

副大臣バランスを強調

「当事者の話も聞いている」

 高木副大臣は、「基準見直しは、データなど科学的な根拠に基づいていて公平。視察で当事者や現場の担当者の話も聞いている」「2018年度予算が成立して、中身はこれから審議していく」と回答。
 生活保護世帯の大学生の問題は給付型奨学金ができたことをあげ、同席していた保護課職員に金額を確認。月額が最大4万円であることを聞き、高木副大臣は「それでは無理」とつぶやきながらも、「アルバイトしている一般の苦学生もいる。バランスをとらなければならない」との態度は崩しません。
 東京・江戸川の精神科医・松尾徳大さんは「生活保護の患者から自殺願望を毎日聞く。利用者の自殺率は一般の人の6・7倍(14年度)。検証して」。
 安形全生連会長は、「実態実例集」を手渡し、「引き下げの根拠として生活保護世帯と比較した低所得者世帯の実態をつかんでほしい」と要請しました。
 最後に、「全国アクション」事務局長の小久保哲郎弁護士は「当事者の声を聴く機会をこれからも持ってほしい」と訴えました。

声届いた気がしない

第2・第3で届けよう

 面談を終えて、当事者は「悲しい気分」「私たちの声が届いた気がしない」。でも「だからこそ、声を届ける第2弾、第3弾の機会をつくっていこう」と決意しました。
 この面談には衆議院の初鹿明博、池田真紀両議員(立憲民主党)が立ち合いました。この日、野党6党は生活保護法等改正案(子どもの生活底上げ法案)を衆院に共同提出。実態に基づく検証ができるまで基準引き下げストップ、世帯分離せずに大学や専門学校等に通えるように配慮、児童扶養手当の支給対象や支給額の拡大などが盛り込まれています。

 

(2018年4月15日号「守る新聞」)

 
   
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