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どこが健康で文化的なのか

神奈川生存権裁判 第14回口頭弁論

 9月25日、生活保護基準引き下げ違憲訴訟・神奈川(神奈川生存権裁判)の原告の意見陳述が横浜地方裁判所でありました。法廷では最初に、原告らの訴訟代理人の一人である井上啓(はじめ)弁護士が原告代理人意見陳述を行い、その後、原告の一人で鶴見生活と健康を守る会会員の田中和彦さんが意見陳述を行いました。(齊藤 豊記者)

 今回は原告側の第14回口頭弁論の意見陳述で、原告21人、原告弁護士7人が出廷しました。
 井上弁護士は以前に提出していた意見書に基づき、代理人意見陳述をしました。その趣旨は、(1)基準引き下げ当時に、「生活保護基準部会」の意見を単なる参考資料を専門家が提出しているに過ぎないとして軽んじたことは誤りであること(2)「デフレ調整」による基準改定の問題(3)「ゆがみ調整」による基準改定の問題(4)「全国消費実態調査データ」の限界について、でした。

姉の葬式にも出られず

 続いて、原告の田中さん(63)が意見陳述を行いました。
 田中さんは10代の頃からサッシの製造業に従事していましたが、30代の頃にその会社が倒産。その後、運送会社の配送センターで10年ほど働きました。しかしそのセンターの他県への移転で30〜40人の同僚と共に退職することに。その後も別の仕事をしましたが、以前に手術をした腰や内臓の病気が悪化し働くことができないまでになってしまいました。
 生活保護の制度について知りませんでしたが、知人から生活と健康を守る会のことを聞き、相談。一緒に生活保護申請をし、05年から生活保護を利用することとなりました。
 田中さんは5人兄弟の一番下で、郷里の姉や兄が亡くなり、今は2人しか残っていません。両親を早くに亡くし、一番上の姉が母親代わりのようなところがありましたが、その姉も他界。その際、葬式に出られませんでした。田中さんはその時が本当につらく、悔しかったといいます。
 田中さんはこのような自身の人生の変遷(へんせん)を法廷で述べました。
 そして、「このままでは死にたくない」と述べ、「きょうだいの葬式にも行けない、エアコンも買えない。家電用品もほとんどがもらい物で、壊れたら買い替えるお金はない。この生活の一体どこが健康で文化的なのか」と加えました。
 また、病院へ行くことについても済まない気持ちで遠慮がちになることを述べ、「もともとこんな生活をしているのに、さらに保護費を下げるということに納得がいかない」と訴えました。

先は長いが頑張ろう

 閉廷後に行われた報告集会では、井上弁護士から先ほど行われた意見陳述のポイントのおさらいと、同日に名古屋地裁(愛知県)でも行われていた同訴訟の進行状況などについての説明がありました(※別枠に関連記事)。
 次に、傍聴に集まった支援者らから支援の言葉と、原告一人一人の紹介がありました。
 最後に市木眞二神奈川県生活と健康を守る会連合会会長から「神奈川県の裁判はまだ先が長いが勝訴に向け今後も共に頑張ろう」の声かけと参加者の拍手で集会を終えました。
 今回の原告、原告側弁護士、支援者たちの参加は計135人。次回は11月28日に行われる予定です。


来春判決へ大詰め
証人尋問始まる

名古屋

 来春にも判決言い渡しが予定されている名古屋地裁での生活保護裁判は、原告側の申し出による証人尋問が9〜10月にかけて行われています。
 9月25日に行われた第1回証人尋問では、2人の証人(上藤一郎静岡大学教授、山田壮志郎日本福祉大学准教授)に対して原告弁護団からの主尋問、被告弁護団からの反対尋問が行われました。
 続いて第2回証人尋問が10月10日、同地裁で行われました。
 初めに証言に立ったのは、社会保障審議会生活保護基準部会で部会長代理を務めていた岩田正美日本女子大学名誉教授。岩田名誉教授は、審議会が「変更の必要なし」とした見解を厚生労働省が勝手に変えてしまったと証言しました。
 続いて、元中日新聞記者の白井康彦さん。昨年相次いで発覚した厚労省の統計偽装の発端ともいえるのが2013年の保護費引き下げ。白井さんは当時から「物価偽装をただす」としていて、法廷でそれを指弾しました。
 第3回証人尋問は同地裁で10月24日に行われ、原告5人が証言します。

(2019年10月20日号「守る新聞」)

 
   
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