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愛知保護基準引き下げ違憲訴訟

6月25日 判決

厚労大臣の決定に誤り

名古屋地裁あて署名集めよう

 2013年8月から3年かけて生活保護基準が最大10%、平均で6・5%引き下げられたことに対し29都道府県、1000人を超す人たちが処分の取り消しを求めてたたかっています。このうち名古屋地裁で1月27日、最終弁論が行われて結審し、「判決は6月25日午後3時から」と言い渡されました。14年7月に提訴して以降、昨年9、10月には専門家や統計学者、ジャーナリスト、そして原告5人が証人尋問に立ってきました。(前田美津恵記者)

 生活保護基準引き下げ反対愛知連絡会は、裁判前に街頭での宣伝と名古屋地裁への第1回署名提出を行いました。122団体・8815筆、105団体の団体署名になりました。

“生かさず殺さず”

 最初に刈谷市の和食の職人を30年続けてきた男性(65)の原告が立ちました。
 「職人をやめて愛知で仕事をしているとき糖尿病になった。保険もなく、仕事を休むと給料が出ず、だんだんと目が見えなくなった。生活保護を受けられてよかったが、引き下げで生活はますます苦しくなった。目が見えないのを助けるパソコンが壊れても、買い換えられない。“生かさず殺さず”の状況。引き下げのときは絶望感でいっぱいになり、今もそれが心の奥にある。裁判官にはこうしたことのないよう歯止めをかけてほしい」
 豊橋市の野口弘子さん(76)は、「病気で働けなくなり、生活保護を受給できて嬉しかったが、生活は苦しかった。保護費の引き下げで食事を3回から2回に。難聴がひどくあいさつの声が聞き取れないので、外出は怖い。補聴器はいつになったら買えることか。生活保護者の生活実態を考えてほしい」と訴えました。
 森弘典弁護士が引き下げの不当性と裁判所の役割を訴え、最終弁論を終えました。

2・23決起集会成功を

 報告集会には全国から130人が駆けつけました。
 内河惠一弁護団長は「強引に引き下げたことが論点として示された。裁判を通して裁判所の熱意と準備をみると、期待できる。生活保護が国民の問題であること、この問題に関心をもってもらうことが大事」と結びました。
 新聞記者から原告の思いを聞かれ、豊橋市の澤村彰さん(53)は、「判決は闘いの終着点ではなく出発点。国民生活の最低限の基準になっている。最後まで頑張りたい」と話しました。
 全国生活と健康を守る会連合会の吉田松雄会長代行が、2月23日に開く名古屋地裁勝利大決起集会への参加を呼びかけ、愛知連絡会の小松民子事務局長が署名目標の達成を呼びかけ終了しました。


裁判所の役割果たせ

弁護士 森 弘典

 生活保護基準は憲法25条1項が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の水準を具体化するもので、厚生労働大臣が決めることになっている。しかし、決定は「高度な専門的、技術的な考察」を経ていない。基準決定に「デフレ調整」をしたが、これまでの「水準均衡方式」から逸脱し、首尾一貫性を欠き、基準部会の議論を経ていない。部会がまとめた「ゆがみの調整」について「一律2分の1計算」をした過ちがある。以上のことから、本件引き下げに際しての厚労大臣の判断の過程および手続きには過誤、欠落があり裁量権の逸脱・乱用があると認められることから、引き下げは生活保護法3条、8条、9条などに違反し違法である。
 生存権保障の中心的役割を担っている生活保護基準設定には厚労大臣の裁量が認められている。これに対して、人権保障のとりでである裁判所は、保護基準の引き下げが行われた場合にも、社会権規約、憲法、生活保護法を十分に踏まえた司法審査の役割を発揮しなければならない。
 生存権の内容が後退させられ、剥奪(はくだつ)(侵害)されようとしているとき、三権分立の原理の下に、司法が積極的に介入して是正しなければ、憲法が求めた国民の基本的人権を保障する機関としての司法の役割は貫徹されない。

(2020年2月9日号「守る新聞」)

 
   
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