全国生活と健康を守る会連合会
   
トップページへ 前のページへ
 
 
全生連の紹介
会からのお知らせ
発行物の紹介
暮らしに役立つ制度紹介
各地の生活と健康を守る会
アクセス
 
守る新聞からのおもなニュース紹介 画像

生活保護基準引き下げ違憲訴訟・福岡

またしても不当判決

裁量権の逸脱あると認めず「合憲」判断

 5月12日に福岡地方裁判所で判決が言い渡された生活保護基準引き下げ違憲訴訟。判決は原告の訴えを退ける不当判決でした。昨年6月の名古屋地裁、今年3月の札幌地裁に続き、またも司法は正しく機能しませんでした。控訴に向け、一段と決意を強める現地福岡からの報告です。

 国が2013年から15年に生活保護基準を引き下げたのは憲法25条の生存権保障に反するとして、福岡県内の生活保護利用者84人(判決時原告数)が減額決定の取り消しを求めたこの訴訟。徳地淳裁判長は「厚生労働大臣の裁量権の逸脱はなく憲法にも違反していない」として原告の請求を棄却しました。

明らかにおかしい  

 高木健康弁護団長は、「特にデフレ調整で、4・78%物価下落したとして、これまでに例のない引き下げをした。しかし生活保護の人にはほとんど買えない大型テレビやパソコンの価格下落を含んでのもの。判決は『どういう計算をするかは厚労相に任されていて、生活保護の人にもそれだけの引き下げをしてもよい』としている。裁判所は明らかにおかしい。成り立たない結論だ」と語ります。
 星野圭弁護団事務局長は、「判決は本当に残念。名古屋判決、札幌判決とほぼ同様のもの。勝訴した大阪判決では下落幅がおかしい、その引き下げはイカンとしている。福岡判決では引き下げの根拠にはほとんど触れていない。名古屋判決を踏襲したもので、実態を見ていない」と批判しました。

怒り共有し一緒に闘う

 福岡県弁護士会館で開かれた報告集会では、福岡県生活と健康を守る会連合会の梅崎勝会長が司会進行を担当。
 「いかんよ貧困・福岡の会」代表の井下顕弁護士が「判決は不当で司法の責任放棄だ。2月の大阪地裁の画期的勝利判決とは真逆の判決。みなさんと怒りを共有し、一緒に闘っていきましょう」とあいさつしました。

原告の決意新たに  

 続いて原告団の5人が、思いと決意を次のように語りました。
 中島久恵原告団長は、「夫が亡くなり今は息子と2人暮らし。毎日の暮らしも大変になっている。このまま負けるわけにいかない。控訴して最後まで闘いたい」。
 92歳の今村サエ子さんは、「老齢加算も闘いました。今回の判決は涙も出ません。でも希望は捨てません」。
 池田伸次郎さんは、「裁判は初めてでした。今後も会員と共に署名に取り組みます。裁判所は国の言いなり。このまま引き下がるわけにはいきません」。
 久米裕子さんは、「今日のような判決が出るとは思っていませんでした。力を合わせて闘っていきます」。
 二之宮文典さんは、「憲法で、健康で文化的な最低限の生活が保障されている。最低生活を割ってもよいのか。正しいのはわれわれの側です。頑張りましょう」。
 緊急事態宣言中のため人数を制限しましたが、裁判・報告集会には、原告団、弁護団をはじめ、生健会、県労働組合総連合、国民救援会、民主医療機関連合会、社会保障推進協議会、年金者組合などから参加がありました。(福岡県生連)

(2021年5月23日号「守る新聞」)

 
   
  Copyright (C) 2007 全国生活と健康を守る会連合会 All Rights Reserved.