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6年の闘いが15秒で不当判決

裁判所は司法の役割果たせ

兵庫
生存権裁判

 生活保護基準引き下げは違法だと24人が闘っている兵庫生存権裁判で神戸地裁は2021年12月16日、原告の訴えを退ける判決を言い渡しました。昨年2月の大阪地裁の勝利判決以降、北海道、福岡、京都、石川と敗訴が続いていますが、原告は「勝つまで頑張る」との思いでいます。兵庫生存権裁判を支援する会事務局の泉伸忠さん(兵庫県生活と健康を守る会連合会事務局長)からの報告です。

コピペ判決続き
判決前から怒り

 多くの人々の支援を受けて6年間闘ってきた兵庫生存権裁判は、昨年12月16日、午後2時に神戸地方裁判所で判決を迎えました。当日は雨が予想されていましたが、なんとか持ちこたえてくれて、何か良い予感がする中、午後1時には約100人の支援者と二十数名の報道陣が裁判所に集まり、狭い正門前は人であふれていました。傍聴席は37人に制限されました。
 神戸地裁での判決は全国で7番目、大阪以外は文面・表現まで同じ、判で押したような判決が続いていたのでみんなは不安というよりも怒りに満ちていました。
 折しも、そのようなときに地方紙「信濃毎日」が福岡、京都、金沢の各地裁の不当判決が誤字まで同じだった(※)と報じたことが支援者の間に広がり、「裁判官はちゃんと仕事をしているのか」と怒りの声も上がりました。
 ※5月12日福岡、9月14日京都、11月25日金沢の判決文の中に、「生活扶助により支出することが想定されない非生活扶助相当品目(医療費、NHK受診料等)とは明らかに性質を異にする」とあり、「受信料」が「受診料」と同じ誤字がありました。判決文をそのまま引き写した「コピペ」判決と言われています。

速い言い渡しに
追い払われた思い

 やがて入廷の抽選が始まり、抽選に漏れた人たちは正門前で判決を待つことになりました。
 開廷の2時が過ぎて20〜30秒もたたないうちに若い弁護士が2人、姿を現しました。2人はなんとなく元気がない様子でしたが、まさかこんなに速く判決が出る(判明する)とは誰も思いませんでした。「法廷で何かトラブルでもあったのか」と思った人もたくさんいました。弁護士が差し出した「不当判決」の文字を見ても、何か信じられない気持ちでした。
 裁判長から判決を受けるというより、私たちは追い払われたような気がしました。

勝つまで頑張る
政治を変えよう

 その後、報告集会を行いました。そこでは裁判所に対する不信感であふれていました。
 そんなタイミングで判決文を検討した弁護団から、(1)弁護団が主張した引き下げの矛盾・違法性を全く検討していない、(2)原告が訴えた窮状、特にコロナ禍での生活様式の変化やセーフティーネットとして生活保護の重要性が増していることなどを無視するひどい判決である、との報告を受けました。
 「コピペ判決」のこともあり、支援者からは「これでは裁判官を裁くことが必要だ(最高裁判事だけでなく)」との声も上がり、裁判所が司法としての役割を果たさないことへの怒りは頂点に達し、一同「勝つまで頑張る」との思いに。そのためには裁判官が安心して判決を言い渡せるように、政治環境も変えようと決意しました。

(2022年1月9日号「守る新聞」)

 
   
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