全国生活と健康を守る会連合会
   
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最も大切な生存権守るため
「守る新聞」と共に歩んでいく

作家・活動家 雨宮 処凛さん

 全国生活と健康を守る会連合会は11月20日で創立69周年を迎えます。生活と健康を守る会と本紙の魅力について、作家・活動家で「いのちのとりで裁判全国アクション」共同代表でもある雨宮処凛(あまみや かりん)さんに寄稿してもらいました。

 私が貧困問題に関わり始めて来年で18年になります。その間、何度「生活と健康を守る会」にお世話になったことでしょう――。今、遠い目になっています。

この国に広がる貧困

「助けて」とメールが

 私が貧困問題に「目覚めた」のは2006年。当時はまだ小泉政権で、日本は戦後最長の好景気などと言われていました。それがあれよあれよという間に「格差社会」などと言われるようになり、07年には「ネットカフェ難民」という言葉がユーキャンの「新語・流行語大賞」にノミネート。その翌年にはリーマンショックが起き、日本中に派遣切りの嵐が吹き荒れました。
 そうして08年末から09年の年明けにかけて、東京・日比谷公園で「年越し派遣村」が開催。極寒の中、住まいを失い野外の炊き出しに並ぶ500人以上の姿は、この国に静かに広がる貧困を、嫌というほど可視化させるものでした。
 そのような中、私のもとにも多くのSOSが入るようになっていました。私の本を読んだという人から、あるいはメディアでたまたま見かけたという人から、直接「助けて」とメールが入るのです。
 「ネットカフェにいるが料金が払えなくて警察を呼ばれた」「ホームレスになったばかりで自殺を考えている」などという若い世代からのSOS。都内であれば支援者と共に駆けつけ、生活保護申請に同行するなどしましたが、遠方だとそうはいきません。

人間への信頼取り戻す

相談者からお礼

 そのようなとき、紹介させてもらったのがその人が住む地域の「生活と健康を守る会」でした。いずれも「家賃が払えずアパートを追い出される」「失業し、食べ物にも事欠いている」など深刻な相談でした。
 そうすると後日、決まって「親切に対応してもらった」「本当に助かった」という連絡が来ました。若い世代が多いので、みんな自分の住む地域にそのような会があることも知りませんでした。何かあったときに相談できる場所が近くにあることがどれほど心強いか、久々に人間への信頼を取り戻したかのような言葉が、報告のメールにはあふれていました。
 そうして最近は、コロナ禍の電話相談でも生活と健康を守る会にお世話になっています。電話相談を受ける際、手元にはさまざまな制度や支援団体の情報が掲載された「Q&A」を置いているのですが、そこには当然「生活と健康を守る会」の名前もあります。コロナ禍の3年数か月、生活困窮だけでなく、いろいろな困り事を抱える全国各地の人に電話番号と共に伝えさせてもらいました。
 それだけではありません。生活と健康を守る会の人たちとは、生活保護基準引き下げに声を上げる「いのちのとりで裁判」で共に闘う関係です。
 生存権という最も大切なものを守るため、日頃からこのような活動を行っていることが掲載されている「守る新聞」と共に、歩んでいきたいです。


 あまみや・かりん 1975年、北海道生まれ。作家・活動家。反貧困ネットワーク世話人。フリーターなどを経て2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。06年からは貧困問題に取り組み、『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年、太田出版/ちくま文庫)はJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。著書に『非正規・単身・アラフォー女性』(光文社新書)、『相模原事件裁判傍聴記 「役に立ちたい」と「障害者ヘイト」のあいだ』(太田出版)など多数。2020年以降のコロナ禍では、「新型コロナ災害緊急アクション」メンバーとして生活困窮者の支援に取り組む。その活動をまとめた著書に『コロナ禍、貧困の記録 2020年、この国の底が抜けた』(かもがわ出版)がある。新刊は『学校では教えてくれない生活保護』(河出書房新社、23年出版)。

(2023年11月19日号「守る新聞」)

 
   
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