国の責任で米の増産が必要
減反政策などでコメ減収
新潟北区生活と健康を守る会・事務局長 曽我 浩(77)
日本の主食であるコメの価格高騰が止まりません。近年のコメ問題に関する新潟県の農家からの告発です。
余っているコメはない
私は4ヘクタール(40反)の水田でほとんど農薬を使わないでコシヒカリを作っています。物資が豊かな時代なのにコメ騒動が続いています。いつになったら落ち着くのかと思っている人が多いのではないでしょうか。
政府は「前年に比べても豊作だったのに一部の農家や業者が値上がりを待ち隠しているせいだ」とマスコミを使って報道していますが、実際には余っているコメはありません。
地球温暖化が追いうち
外国産米の大量輸入をするために40年前からコメの減反政策を進めた結果、昭和から平成にかけてのコメの農家価格は半分以下の1俵(60キログラム)1万円にまで下がり、一昨年まではコメ生産農家の所得は年間1万円、時給換算で10円まで落ち込み、その結果コメ生産農家は3分の1まで減りました。
そこに追い打ちを掛けているのが地球温暖化です。干ばつ、冷害、豪雨、風害などによって世界中で農産物が減収しています。
農林水産省は昨年のコメの作柄は全国平均例年並みの101%としていますが、実態とかけ離れた数字です。
新潟では昨年、一昨年と2年続きで1反1〜2俵減収と言っている農家がほとんどです。政府は1反で500キログラム以上収穫しているとしていますが、わが家は去年も一昨年も370キログラムでした。
コメの備蓄求めていく
日本政府はコメの備蓄をどんどん減らしており、国民の必要量の1か月半分しかありません。隣の中国では2年分、多くの国が穀物を1年分くらい備蓄しています。
政府は備蓄のコメを放出しましたが、その量は年間需要の3%でしかありません。その放出した量を今年の生産米で返してもらうことになっているので先食いです。今年は増産できないため昨年よりコメ不足になります。今年の種籾は一昨年に発注して去年生産しているので簡単に増産はできません。
政府は予算を軍事費ではなく国民の食糧を守るために使ってほしい。そして、農民が生きがいを持って楽しく仕事ができるような社会にしなければと思います。先進国では当たり前の主要農産物の価格保証と買い取り備蓄を政府に求めていきたいと思っています。
(2025年4月27日号「守る新聞」)